パラレル現代版(?)日雛です。パラレルが嫌いだったりイメージ壊されるのが厭な方(……なんか今更ですが一応)は回れ右。読んでて不快になっても責任はもてませんので自己防衛してくださいませ。
*設定*
日番谷:小学生(小6)
雛森:高校生(高1)
・二人とも幼馴染で家が隣同士。
・藍染惣右介隊長はここでは日番谷の兄です(笑)
なので日番谷惣右介ということで一つ(わあ)年齢は20代。
まあそんな感じで、興味あるチャレンジャーは、以下本文へどうぞー
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------- たとえばそんな朝風景
AM8:00。
家の中からかかる声におざなりに返事をしつつ、日番谷冬獅郎は家のドアを蹴る様に閉めた。やや低血圧気味の彼にとって、朝はあまり得意とはしない時間帯である。
まだ少し残る眠気に、あくびを噛み殺しつつ家の前の道を出たところで、隣家の門の前に見慣れたお団子頭を見つけ冬獅郎はぎくりと足を止めた。
足音に気付いたそのお団子頭はすぐにくるりと後ろに回って、代わりに藍の瞳が冬獅郎を見つけてにこりと笑った。
「シロちゃんおはよう!」
「……はよ。つーかシロちゃんて言うなアホ桃」
かけられた朝の挨拶に、冬獅郎の顔が苦虫を潰したようなものになる。
冬獅郎と桃は幼馴染だ。生まれる前から両親たちが仲がよく、また隣家ということで交流も多い。そんなわけで、冬獅郎は4つ上の桃とは生まれた時からの付き合いなのだが。そのせいで、桃の冬獅郎に対する態度は完全に弟に対するそれであり、小学六年生にもなるのに未だに『シロちゃん』という呼び名で固定となっている。
憎からず、まだほんのりとはいえ幼馴染以上に思っている冬獅郎にとって、それは苦渋以外の何物でもない。いわば弟としてしか見られていない最も顕著な例であるのだから当然だろう。
そんな冬獅郎の想いも露知らず、当の桃は笑顔で更なる爆弾を投げ込んだ。
「今度のお盆に惣右介さん戻ってこられるんでしょ?」
「……ああ、そんなこといってたっけな、あのクソ兄貴」
つい苛立ちまぎれについた言葉に、すかさず桃は眦をきっと吊り上げて。
「もう、そんな風に呼んじゃだめって言ってるでしょ!!」
軽くたしなめるといった程度ではなく、こればっかりは桃も本気で怒る。いくら兄弟とはいえ、常識的に考えてもあまり褒められた事ではない上に、桃自身が兄である惣右介が好きだというのだから、自然その怒り方も真剣みを帯びてくる。
「でも知ってたなら早く教えてくれてもいいのに。あたしが楽しみにしてるの知ってるくせに」
シロちゃんの意地悪、と恨みがましい目で見上げてくるのから逃れるように、冬獅郎はそっぽを向いて。
「……知るか」
なにが悲しくて恋敵(?)に花持たせるような真似をしなければならないのか。
吐き捨てるように言ってのけた冬獅郎に、桃は「もうっ」と頬を膨らませて息を吐いた。
だが、流石に長年付き合ってもいれば、桃も流し方を心得ている。すぐに気を取り直すと、桃はウキウキと冬獅郎に話しかけた。
「でも惣右介さん元気にしてるかな? 会えるの楽しみだよね!」
前に会えたのは3月だから……4ヶ月ぶりくらいだね、と指折り数えながら心底嬉しそうに話す桃。予想通りのその浮ついた反応に、冬獅郎は大きく溜息をついた。
「……だから言いたくなかったんだよ」
微かな声で毀れるのは本音。ずっと前から予定を知ってはいたが、兄を慕う桃にこの話をすれば否応無しにノロケともつかないものを聞かされることは分かっていたから。
「? なあに? シロちゃん」
「なにもいってねえよ。耳が遠くなったんじゃねえかボケ桃」
ごまかすついでにそう言えば、桃はこれ見よがしに頬に手を当てて溜息をついた。
「またそんなこと言う。シロちゃん小さいときはどこ行くときもくっついて来てかわいかったのにー」
「だからシロちゃんって呼ぶのやめろ! それといちいち昔のことほじくり返すなっ!」
いい加減、半ば本気で切れかかっている冬獅郎相手に、桃は微笑ましいとでも言うように手を握って。
「もう、シロちゃんったら色気づいちゃって♪ 恥ずかしがらないのv」
放っておいたら頭まで撫でてきそうなその雰囲気に冬獅郎は遠くへ目をやった。最早なにを言ってもやぶへびになってしまいそうで黙り込むと、ウキウキと桃は告げる。
「でもお盆ごろに帰ってきてくれてよかったね。夏休みの宿題見てもらえるし」
そういう桃は、面倒見のよい兄のところによく訪れては宿題を見てもらっていた筆頭だ。
「お前じゃあるまいし、あんな面倒なだけで簡単なもん俺が聞くかよ」
「そんなこといって、また強がっちゃってー。塾行かせてもらってる子のセリフじゃないでしょ」
桃の言う通り、確かに冬獅郎は塾に通っている。……が、実は行く必要もないくらい頭がいい。ただ中学入試がどうとか冬獅郎自身が難癖つけて、無理矢理行かせてもらっているのが現状だ。
その理由が顔をあわせれば子ども扱いしてくる桃から逃れる為だというのを、言えるはずもない。
「なによー、溜息ついちゃって」
沈黙して溜息を吐く以外になにをしろと言うのか。
「ほら眉間にシワ」
と、人差し指で無頓着に至近距離で桃はつつく。こんな至近距離でいられることを幸運と思うか、全く意識されていない高すぎる壁を嘆くかのどちらかと言えば、冬獅郎の心境としては後者に限りなく近い。
いらつくその子ども扱いを、容赦なくパシリとはたいて。いったーい、と指を大げさにさすりながら非難の声を上げる桃に背を向けた。
「オレ学校に行くからな」
「ふわぁ! もうこんな時間!? 引き止めてごめんねっ」
あたしも急がなきゃ! と時計を見て、別の方向へと踵を返して駆けて行く。その背に冬獅郎は思いっきり溜息をついて。
あっという間に静かになった朝の通学路に、冬獅郎は石を蹴飛ばした。
2004/07/07 初出 【出雲 奏司】
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